外来診療

HPVワクチン

子宮頸がんの発症に関わるヒトパピローマウィルス(HPV)感染(※1)を予防するワクチンです。とくに初交前に接種することによりおよそ90%予防(※2)できます。HPVは性交経験がある女性なら誰にでも感染する可能性があります。

接種対象者

  • 性交渉の有無を問わず、とくに女性には強く接種が勧められています。
  • 当院では16歳以上の方が接種可能です。

HPVワクチンの種類

当クリニックでは2種類のワクチンが接種可能です。十分な効果を得るためには、どちらのワクチンも半年の間に3回(初回、2か月後、6か月後)の接種が必要です。

シルガード®9

2020年に日本で承認されたワクチンで、9種類のHPVに対して予防効果があります。子宮頸がんの原因となるHPVのうち、約90%をカバーしています。

ガーダシル®

2011年に日本で承認されたワクチンで、4種類のHPVに対して予防効果があります。子宮頸がんの原因となるHPVのうち、約70%をカバーしています。

ワクチン名シルガード®9ガーダシル®
感染を防ぐウイルスの型の数94
対象性別・年齢16歳以上の女性16歳以上の方
効果子宮頸がんとその前がん病変、外陰上皮内腫瘍、 膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマ子宮頸がんとその前がん病変、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマ、肛門がんとその前がん病変
接種回数3回(初回接種、2カ月後に2回目、6カ月後に3回目)
副反応接種部位の痛み、かゆみ、腫れ、発赤、頭痛、発熱、熱っぽさ、しこり、感覚鈍麻、悪心など通常数日で消失接種部位の痛み、かゆみ、腫れ、発赤、頭痛、発熱など通常数日で消失
価格1回:38,500円(税込)/
3回セット:110,000円(税込)
1回:22,000円(税込)/
3回:66,000円(税込)

参考:「子宮頸がん予防情報サイト もっと守ろう.jp

子宮頸がんについて

子宮頸がんとは

子宮の入り口付近、「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」にできるがんを、「子宮頸がん(しきゅうけいがん)」といいます。子宮頸がんは原因やがんになる過程がほぼ解明されている、予防ができるがんです。

子宮頸がん予防ワクチンは、すべての型の発がん性HPVの感染を防ぐものではありません。これらの異常を見逃さないために、ワクチンを接種した後も定期的な子宮頸がん健診の受診が必要です。

HPVワクチンについてよくある質問

HPVワクチンの効果はどのくらい持続しますか?

海外の臨床試験では、3回接種することで10年程度の予防効果が確認されています。
※3 ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02653118

すでにHPVに感染している人でも効果がありますか?

すでに病変がある人(尖圭コンジローマを含む)、検診で異常があった人にも接種を行うことは可能です。ただし存在している病変を改善する効果はありません(1)(2)。

HPVワクチンに含まれる全ての型に感染している可能性は低いとされるため、感染していないHPV型による疾患予防にワクチン接種は十分意義があります(1)(2)。

(1)日本産婦人科学会、日本産婦人科医会 編集・監修. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編.2023:52-53.

(2)Markowitz LE et al. MMWR Recomm Rep. 2014;63(RR-05):1-30.

HPVワクチンの副反応にはどのようなものがありますか?

主な副反応は、注射部位では疼痛、腫脹、紅斑、そう痒感、内出血、全身性の副反応としては頭痛、浮動性めまい、口腔咽頭痛、悪心、下痢、発熱、疲労が報告されています。まれですが、重い症状(重いアレルギー症状、神経系の症状)※が起こることがあります。

厚生労働省「小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(詳細版)」

HPVワクチンを接種すれば、子宮頸がん検診は不要になりますか?

いいえ、HPVワクチンを接種しても、定期的な子宮頸がん検診は必要です。ワクチンはすべてのHPV関連がんを予防するわけではないため、検診による早期発見・早期治療が重要です。

他の予防接種と同時に受けることができますか?

はい、HPVワクチンは、基本的には他のワクチンと同時に接種することができます。ただし、接種部位は別の場所(もう片方の腕など)にすることが推奨されています。