お知らせ
Vol.22(2021/07/26)当クリニックの抗体陽性率/日本と世界の最新動向/ワクチン接種先進国に見る感染動向/ワクチンのフェイクニュースと安全情報/ワクチンパスポート、ほか
東京では新規感染者数の増加が続き、急速な感染拡大が継続している状況です。
年代別では60代以上の感染者数および入院者数の割合は減少傾向にある等、変化が見られます。
ワクチン接種の最先進国のひとつ、イスラエルの例を見ても、ワクチン未接種の若い世代が感染状況を左右する可能性がありそうです。
コロナワクチンの接種は強制されるものではありません。接種するかどうかを決めるにあたって、正しい情報を基に判断していただきたいという思いから、今号でも、その安全情報を中心にお伝えしてまいります。
[1]当クリニックでの抗体陽性率
2021年5月15日から7月14日までの抗体陽性率は再上昇しています。
現在の第5波により、今後さらに上昇する可能性があります。
上記の抗体はSARS-CoV-2の感染を示していますが、COVID19のワクチンに対して反応する中和抗体ではありません。
今後は中和抗体とともにチェックしていきたいと思います。
図1:東京ミッドタウンクリニックでの抗体検査の陽性率(2021年7月14日まで)
[2]日本国内の状況
第5波が来ています。
図2:国内の新規陽性者数、入院治療等を要する者の数、重症者数(2021年7月25日時点)
出所:厚生労働省「国内の発生状況など」
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1
[3]東京都のモニタリングデータより
東京の新規感染者数は、拡大傾向が続いています。
図3:新規感染者数(2021年7月25日時点)
出所:Yahoo! Japanニュース「東京都 新型コロナ関連情報」
https://news.yahoo.co.jp/pages/article/covid19tokyo
年代別データです。
やはり60歳以上が感染者、入院者ともに減少してきています。
図4:東京都モニタリング項目「新規陽性者数(年代別)」2021年7月21日モニタリング会議資料
図5:東京都モニタリング項目「入院患者 年代別割合」2021年7月21日モニタリング会議資料
出所:東京都福祉保健局「最新のモニタリング項目の分析・総括コメントについて」
(図4,5)https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/info/monitoring.html
[4]世界の状況
米国、英国、EUと日本の比較です。
英国の感染者数は増えていますが、EU、米国の低下は著明です。
死亡者数は日本もほぼ同等になってきました。
図6:EU・米国・英国・日本の死亡者数比較(2021年7月25日時点)
出所:FINANCIAL TIMES Coronavirus tracked: see how your country compares
https://bit.ly/2TDgjZy
図7:EU・米国・英国・日本の新規感染者数比較(2021年7月25日時点)
FINANCIAL TIMES Coronavirus tracked: see how your country compares
https://bit.ly/2WfRQdz
続いて、アジアの国々です。インド、タイ、韓国、台湾と日本です。
インドが非常に増えていましたが、急速に減ってきています。対策を知りたいところです。 その代わりにタイが非常に増えてきています。
日本は、オリンピックでどうなるのかが心配です。
図8:日本・インド・タイ・韓国・台湾の死亡者数比較(2021年7月25日時点)
出所:FINANCIAL TIMES Coronavirus tracked: see how your country compares
https://bit.ly/3iQhP2P
図9:日本・インド・タイ・韓国・台湾の新規感染者数比較(2021年7月25日時点)
出所:FINANCIAL TIMES Coronavirus tracked: see how your country compares
https://bit.ly/2UMUwPD
最後に、ワクチン接種率です。
日本も伸び始めていますが、中国の進み具合が米国に追い付いています。
UKの達成率があるので、あれだけ規制緩和に乗り出したのでしょう。
規制緩和の目安は、国民一人当たり1回接種というところかもしれません。
図10:英国・イスラエル・米国・EU・中国・インド・日本のワクチン接種率(2021年7月25日時点)
出所:FINANCIAL TIMES Covid-19 vaccine tracker: the global race to vaccinate
https://bit.ly/3BJG3V9
[5]若い世代の感染に関して
Nature は7月8日に”Will COVID become a disease of the young?”という記事をだしました。
イスラエルの感染者のグラフは下記の通りで、若い年代の未接種がパンデミックの原因になるだろうと、として警鐘を鳴らしています。
図11:イスラエルの新規感染者数(2021年7月5日までの直近の傾向)
出所:Nature Will COVID become a disease of the young?
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01862-7
[6]ワクチン接種先進国・イスラエルで行動制限が緩んできた結果
イスラエルでは行動制限が緩んできて、変異株が増えたことにより、ワクチンの感染予防効果が減少してきました。しかし、重症化率は抑えられています。
今後は若年者の接種が重要と報じられています。
中東イスラエルの保健省は5日、新型コロナウイルスのワクチンによる発症を予防する効果が64%に減少したと発表しました。5月時点での効果は94%余りだったということでインドで確認された変異ウイルスの感染拡大との関連も指摘されています。
イスラエルでは16歳以上の人口の8割余りが製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンを接種し、6月中旬までは1日の新規感染者数が1桁となる日もありました。
しかし、先月下旬以降インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」による感染が広がり1日当たりの新規感染者数は平均でおよそ260人にまで増え、5日には507人の感染が確認されました。こうした中、イスラエルの保健省は6月6日以降の感染状況を調べた結果を発表し、ワクチンによる発症を予防する効果が64%に低下したと発表しました。
現地メディアによりますと、ことし5月時点では94.3%だったということです。
これについて保健省は「この低下は、デルタ株の感染拡大と同時に観測された」としていて変異ウイルスとの関連も指摘しています。一方で重症化を予防する効果については前回と同じ水準で93%と推定されるとしています。イスラエルでは一度は屋内でのマスクの着用義務が解除されましたが、6月25日以降再び屋内での着用が義務づけられていて、イスラエル政府は空港での感染対策の徹底や12歳から15歳へのワクチン接種を呼びかけています。
出所:NHKニュース「イスラエル ワクチン予防効果64%に減少 変異株との関連指摘」(2021年7月6日 18時08分 )
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210706/k10013122651000.html
[7]宮坂先生もワクチンを打ちました:ワクチン安全・有効情報
以前取り上げたことのある大阪大学名誉教授の宮坂昌之先生に関する記事をご紹介します。
新型コロナウイルスのワクチン接種を話し合う昨秋の衆院厚生労働委員会に参考人として出た直後、「当面は打たない」と公言していた免疫学の第一人者、宮坂昌之・大阪大学名誉教授(73)が、認識を一転させ、このほど2回目の接種を終えた。大阪の大規模接種会場で予診にも協力している。接種が本格化した今でも安全性に不安を抱く人は少なくないが、宮坂氏は「打たないチョイス(選択)はない」と言い切る。(霍見真一郎)
■3本の矢
「厚生労働委員会に出席した昨年11月時点では、安全性に関するデータが非常に少なかったが、その後、従来ワクチンとほぼ同じレベルの副反応であることが分かった」
神戸新聞の取材に応じた宮坂氏は、接種を巡る心境の変化を説明した。実際にファイザー製ワクチンの2回目を今月17日に接種した後、腕の痛みや脇の下の腫れなどを感じ、翌18日夜には38度の熱が出たが、19日は平熱に下がり、再び大規模接種会場で予診を担当したという。ファイザーとモデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは当初、発症予防効果はあるが、感染予防効果などは分からないとされていた。しかし宮坂氏は「接種が進んだイスラエルでは死者も入院者もピーク時の9割以上減少し、接種者のPCR検査では、陽性者数がものすごく減っている」とデータが蓄積されていることを強調。「感染予防、発症予防、重症化予防の『3本の矢』がそろっており、同じく接種が進んでいるアメリカやイギリスでも同様のデータが出ている」と説明する。
■集団免疫
「自然感染が進むことで集団免疫ができるのではないかという議論については「できない可能性が高い」と話す。「感染症には持続的な免疫を付与するものと、そうでないものがあり、新型コロナは免疫効果が4カ月ほどで半減するインフルエンザに性質が似ている」
一方、今回のワクチンは、自然感染とはまったく異なり、持続性のある免疫を与えてくれるという。mRNAワクチンが効果的な強い免疫反応を起こす理由を、宮坂氏は三つ挙げる。
一つ目は、人工的な修飾を加えたために壊れにくくなり、抗体ができやすくなったこと。二つ目は、炎症反応を起こす作用が強い2本鎖RNAを除去しているため、過剰な副反応が回避できたこと。三つ目は、脂の膜で包んだ小さい粒子にしたため、「免疫の砦」ともいうべき所属リンパ節に効率的に運ばれること。宮坂氏自身が2回目の接種後、脇の下が腫れたというのも、所属リンパ節が強く反応している証しだという。■遺伝情報
mRNAワクチンは、遺伝情報を使うため、人間の遺伝子に影響を与えるのではないか、と不安を抱く人もいるが、「それはない」という。人間の体は、原則DNAからRNA、そしてタンパク質-と、一方向の流れになっていて、逆方向に入っていくことはない。宮坂氏は「アメリカの研究グループが『人の細胞に特殊な仕掛け(逆転写酵素の発現)をしておくと、新型コロナを感染させたときにRNAが人の遺伝子に入り込む』という論文を出したが、健常者では起こりえない現象だ」とした。
また、宮坂氏は、別のアメリカの研究グループが、ワクチンを打った人の血液中にスパイクタンパク質が出てくるという報告をしたことを指摘。大量のスパイクタンパク質は肺炎を起こすため「毒を打っているのではないか」という議論が巻き起こったが、宮坂氏は「ワクチン後に血液中に出てくる量は炎症を起こすにはほど遠い少量で、その指摘は当たらない」と話す。
■2回接種
ワクチンが効きにくいとされる変異株の感染が問題視されているが、宮坂氏は「抗体がコロナウイルスを認識する目印は、体の細胞と結合するスパイクタンパク質に50~100個あるという報告もある」と指摘。「仮に数個使えなくなったとしても問題ないし、(感染性をなくす)中和抗体だけでなく、ウイルスを溶かしたり、食細胞に食べさせたりする抗体もあるので、2回接種すれば、ほぼ完全に防御できると考える」と述べた。
ワクチン接種が進むイギリスでは現在、激減していた新規感染者が再び増えているが、データを分析すると、感染しているのはワクチン未接種者がほとんどで、2回接種者で感染は増えていないとした。
宮坂氏は「他国におけるワクチンの進ちょく状況をみていると、2回接種が終わった人が国民の5割を超えると、ぐっと新規感染者が減ってくる」と指摘。「日本で今後感染者が減るかどうかは、ワクチン接種がどれだけ広範に進むかということにかかっていると思う」と話している。■死亡頻度
mRNAワクチンとは別の仕組みを持つアストラゼネカのワクチンは、血栓症を起こす可能性が指摘されている。
宮坂氏も「血栓症は100万回接種に対して10回程度。これまでのワクチンは、生命に関わる副反応は数回までは仕方がないものとして受け入れられていたが、それよりはちょっと高い」と指摘する。
しかし「車を運転して一生のうちに死亡事故を起こす可能性は100万回に数十回あるというからそれより低い」とし、「何らかの事情でmRNAワクチンが使えない状況になれば、接種する選択もあっていいと思う」と話した。新型コロナワクチンの接種費用は無料。国民に接種を受ける努力義務が生じるが強制ではない。
出所:神戸新聞NEXT「ワクチン「打たぬ選択ない」免疫学の第一人者、慎重姿勢を一転 データで安全確信」(2021/6/26 08:44)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202106/0014447762.shtml
[8]ワクチンフェイクニュースに関して
ワクチン接種を推進する、河野大臣のサイトに、新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を発信することを旨とした「こびナビ」の監修を受けた記事があります。
参考:こびナビ
http://covnavi.jp/
新型コロナウイルス感染症のワクチンに関するデマが流布されるようになってきました。そもそもなぜ、ワクチンに関する正しくない情報が飛び交うのでしょうか。
EUの対外行動庁(EUの外務省にあたる)が4月に公表した報告書によれば、中国やロシアが、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンの信頼性を傷つけるような情報発信をソーシャルメディアなどを使って複数の言語で行っています。
また、ワクチンに関する偽情報やデマを監視している団体によると、TwitterとFacebookにあるワクチン関連のそういった誤った情報の65%はわずか12の個人と団体が引き起こしていることが確認されています。
中には医師免許を持っているにもかかわらず、デマを流す人もいます。ワクチンデマを流す目的は、
一、ワクチンを批判して、自分の出版物やオリジナル商品に注目を引き寄せて、お金を稼ぐ、
二、科学よりも自分の信奉するイデオロギーに基づいて主張する、
三、過去に誤ったことを発言したために抜け出せなくなっている、
四、自分に注目を集めたい、
ということが大きいと言われています。
日本で流布されるデマは、当初、海外で発信され、しばらくして日本にたどり着いたものが多くなっています。今回のコロナワクチンに関する具体的なものをいくつか挙げてみると、
「ワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ」
実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度ですから、ワクチンを接種した人間が100年で全て死んだといっているのに等しいことになります。その後、「ワクチン接種された実験用のネコが全て死亡した」というデマに替わってきていますが、ヒトに関する研究の前段階としての動物実験でネコは一般的に使われません。
現に、ファイザー社のワクチンの研究でネコが使用されたことはありません。「ワクチン接種により不妊が起きる」
コロナワクチンに限らず、どんなワクチンに関しても流されるデマの一つです。
これまでのワクチンで、不妊が起きたことはありません。
今回のコロナワクチンでも、不妊が起きるという科学的な根拠は全くありません。ファイザー社の元Vice Presidentのマイケル・イードンという人が、「胎盤を形成するシンシチン-1という蛋白とスパイク蛋白が似ているため、スパイク蛋白の抗体がシンシチン-1も攻撃してしまう」と主張しましたが、実際には抗体が反応するために大切なアミノ酸の配列は似ているところが少なく、そのような反応が起きたことは確認されていません。
アメリカで行われた3958人の妊婦を対象とした研究で、流産や早産、先天奇形が起こりやすいということがないことも確認されています。「卵巣にコロナワクチンの成分が大量に蓄積する」
ワクチンの成分が体内でどう拡散するかを調べるために、放射性同位体を付加したワクチンをマウスに接種してみたところ、総放射能回収率は肝臓で最も高く18%となり、脾臓では1.0%以下、副腎では0.11%以下、卵巣では0.095%以下と、肝臓と比較して著しく低くなり、ピークも48時間でした。
単にごく微量が卵巣に一時的に分布したということであり、蓄積というのは明らかな誤りです。「ワクチン接種で遺伝子が組み換えられる」
mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる可能性はありません。
ヒトの遺伝情報はDNAの形で細胞の核の中に保存されています。
mRNAは細胞の核に入ることができません。
仮に、mRNAが細胞の核に入ったとしてもRNAをDNAに変換できませんし、それをヒトのDNAに組み込むこともできません。「治験が終わっていないので安全性が確認されていない」
mRNAワクチンは、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています。その上で、いつまで効果が持続するかという長期の有効性を確認するための治験が継続して行われています。「長期的な安全性がわからない」
mRNAは半日から数日で分解され、ワクチンにより作られるスパイク蛋白も約2週間以内でほとんどがなくなります。
mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれることはありません。
mRNAワクチンでもアナフィラキシーが起きることがありますが、症状が出るのは接種してから2日以内に限られます。
これまでのワクチンでも、ほとんどの副反応が6-8週間以内に起きることが知られています。
以上のことから、コロナワクチンの長期的な安全性について特段の不安があるということはありません。「ADE(抗体依存性増強現象)が起きる」
ワクチンや過去の感染により作られる抗体が、ウイルスの感染を増強してしまうことをADEといいます。
デング熱ワクチンやSARSワクチンでこのようなことが起きたことがあります。
しかし、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンでは、
高い中和作用がある抗体とバランスのよいリンパ球の動きが確認され、
動物実験でもADEは観察されず、
大規模な治験においてもADEの報告はない
ことから、新型コロナワクチンに関して、ADEの可能性は考えにくいとされています。
この項は「こびナビ」( covnavi.jp , @covnavi)の監修をいただいております。
出所:衆議院議員 河野太郎公式サイト「ワクチンデマについて」(2021.06.24)
https://www.taro.org/2021/06/%e3%83%af%e3%82%af%e3%83%81%e3%83%b3%e3%83%87%e3%83%9e%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6.php
[9]ワクチン接種証明書が始まります。
当分の間は、書面による交付となりますが、いわゆる「ワクチンパスポート」の申請受付が7月26日より各市町村で始まりました。
海外の渡航先への入国時に、相手国等が防疫措置の緩和等を判断する上で活用されるよう、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の事実を公的に証明する接種証明書を交付します。本接種証明書の交付申請は、令和3年7月26日(月)から各市町村(特別区を含む。以下同じ。)において受け付けることとなりました。
この接種証明書は、海外渡航の際に必要な方へ交付するものです。この接種証明書は、海外渡航の際に必要な方へ交付するものです。
出所:厚生労働省ホームページ「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_certificate.html
https://www.mhlw.go.jp/content/000807368.pdf
※当ページの内容は「2021年7月26日」時点の情報です。