■これまでとは違う対策が必要
ほてり、のぼせ、多汗、疲労感、肩こりなど、よく知られている症状以外にも、いわゆる更年期症状は多岐にわたります。これまでと同じ食生活をしているのにやせにくい、あるいは太りやすくなった、といった、一見更年期症状とは無関係に思えるものも、実は閉経によるホルモン量の変化が原因である場合が少なくないのです。
調査によれば、45~55歳の女性の9割が何らかの不快症状を感じており、そのうち2~3割が更年期症状を起こしているとのこと。かつては人生の終盤と位置付けられていた更年期も、長寿命の現代ではまだまだ折り返し地点と言え、その後の豊かなシニアライフを迎えるには今までと違ったケアが必要です。
また、女性の社会進出やストレス社会を背景に、更年期症状の重症化が見られます。この世代は社会では管理職などプレッシャーのかかる立場であることも多く、一方家庭では育児と介護が重なるなどもあり、更年期対策はますます重要となっています。
■更年期対策の現状とは
更年期症状は、卵巣から分泌される女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の減少によって体内のホルモンバランスが乱れ、自律神経が正常に働かなくなるために起こります。
現在行われている治療法としては、まずホルモン補充療法(HRT)が挙げられます。HRTは、減少してしまったエストロゲンを飲み薬や貼り薬などで補充するもの。乳がんのリスクにより実施期間は5年以内が望ましいとされ、体質的な問題や心理的な抵抗感からこの療法ができない方もいらっしゃいます。
また、漢方薬や自律神経調整薬が用いられることもありますが、あくまでも一定の症状の緩和が目的であり、エストロゲンの減少による様々な症状の根本に働きかけることはできません。
そんな中、エストロゲンによく似た働きがあるとされているのが、「大豆イソフラボン」。近年の研究で、この作用をもたらしているのは、大豆を食べたときに大豆イソフラボンが腸内で代謝され産出される「エクオール」という物質であることが解明されました。
■イソフラボンよりエクオール
スーパーやコンビニの棚には大豆製品が並び、ドラッグストアではイソフラボンを主成分としたサプリメントが販売されています。しかし残念ながら、日本人の2人に1人、欧米人では3人に2人が、イソフラボンからエクオールを作り出す腸内細菌を持っていません。
これらの方は、イソフラボンを摂っても更年期対策にならないのです。しかも、エクオールを作り出せない人は更年期症状が重い傾向にあることも分かっています。さらに、最近は日本人の豆類の摂取量が減っており、エクオールを作り出せる人もその恩恵を十分に受けられていない状況にあると考えられます。
そんな中、エクオールそのものを摂ることができ特集1特集2vol.3 Sep. 2013る、新しい更年期対策サプリメントへの期待が高まっています。
■「ラクトビオン酸」との相乗効果
更年期世代の健康に必要なのは、更年期症状の対策だけではありません。骨がもろくなって骨折しやすくなる骨粗しょう症もエストロゲンの減少によって引き起こされます。その対策として、カルシウムの摂取が必要となりますが、実はカルシウムは体内に吸収されにくい成分。
そこで注目されるのが「ラクトビオン酸」です。これは、長寿が多いことで知られるコーカサス地方(カスピ海と黒海に挟まれたコーカサス山脈とその周辺地域)のカスピ海ヨーグルトに多く含まれる、オリゴ糖の一種。
整腸作用に加えて、カルシウムを水に溶けやすくすることで体内への吸収を高める作用があり、骨粗しょう症の予防効果が期待できます。また、エクオールを作り出す働きを促進することも確認されています。エクオールとラクトビオン酸を共に補うことで、更年期世代の健康のトータルヘルスケアに期待がよせられます。